トバリュウの仲間たち

 7月24日、三重県総合博物館で開催されている「三重の三億年変動に生きた巨大生物たち」の企画展に合わせて開催された「トバリュウの仲間たち」の講演会に参加した。

 

講師は丹波竜の採掘と同定にかかわった兵庫県立ひとと自然博物館の三枝春夫先生でした。

 

地球の歴史の中で恐竜が出現したわけやその中でも竜脚類の仲間がどのように発見されてきたかを丁寧にひも解いていただいた。竜脚類の恐竜が栄えたのは白亜紀、その時の日本の地形はアジア大陸の端のほうで日本列島はアジア大陸とくっついていた。日本の恐竜の仲間は日本列島の地盤が大きく変動した地域から発見されている。それらの仲間を歯の化石の分類から分けてみると面白い。トバリュウ以前は短くヘラの様だが、勝山の手取層群から発見されたフクイサウルスなどからは細い櫛状になってきた。

 

トバリュウの発見は日本の恐竜時代の幕開けだったが福井の手取層群からの化石発見で大きく進展した。その後丹波市山南町で発見された丹波竜からまた、大きく進化した。ここではたくさんの骨格をなす骨や歯、脳函などが発見され、種の命名がされた。Tambatitanis amicitiaの名前が本格的についた。(地名、女の巨人、二人のちから)の意味 もう一つ興味深かったのは鳥の肺と気嚢のしくみが竜脚類の恐竜にもあったのではないかという想定である。肋骨の間に二つの大きな気嚢を持ち、呼吸していた。大きく伸びる首のなかにも気嚢があり酸素を吸収していたという考え方である。これで巨大化した体でも効率よく呼吸していた仕組みがわかった。恐竜の脳の仕組みも面白い。どんな形であったかはなかなか難しいが発掘されたものから脳函の形と脳の形を考えた。脳はあまり大きくなく能函にしっかり入っていた。

 

「トバリュウでもこれから、歯と脳函、首の骨(頚椎)が発見されれば種の同定ができる。

 

ひょっとしてティタノサウルスの仲間ではなく、新たな種類のユーヘロプス科の仲間になるかもしれない。大事な分岐点になる。ぜひ現場で皆さんも探してみてください。」と三枝先生は提言された。参加されたみなさんの中にトバリュウの発見者である谷本さんたちもいて皆さんで「もう一度やってみたいですね。」と声をかけてくださった。トバリュウ発見から20年の今年皆さんの力を合わせれば大発見があるかもしれないチャンスになると思いました。

 

 

講演会

講師

兵庫県立ひとと自然博物館研究員

三枝 春夫さん

 演題

トバリュウの仲間たち

 特別展

三重の三億年の変動に生きた巨大生物たち

7月20日~9月4日まで


プレゼンフォト スライドは三枝先生の資料です。