化石現場の倒木伐採作業

2022年の台風で鳥羽竜化石現場周辺の樹木が倒れたので教育委員会、観光協会、観光課の皆さんで伐採作業をして片付けました。陣頭指揮は文化財調査委員の野村史隆さんがしてくれました。5メートルを超えるカラスザンショウの大木がありました。今年度新しく買ったチェンソーが役立ちました。

枯れた松の木も一緒に切り取り安全を確保しました。本当にご苦労様でした。

伊勢志摩国立公園「Happy Birthday!」 石原円吉賞を受賞

 11月19日、鳥羽マリンターミナルで第4回石原円吉賞の授賞式が開催されました。そのなかで伊勢志摩国立公園の自然文化活動で著名な活動をしたということで鳥羽恐竜研究振興会が表彰されました。

1996年の鳥羽竜骨化石と1998年のイグアノドンの足跡化石の発見以来、現地の保全活動や学術調査活動、子どもたちの体験学習活動を幅広く続けてきたということで表彰されました。寺田直喜会長と事務局の山下が出席し表彰を受けました。私たちのほかには伊勢市の横輪桜を育てている横輪町活性化委員会や海女の彫刻を続けている志摩市の山川芳洋さんが表彰されました。また、昨年表彰された島の旅社の山本加奈子事務局長さんが答志島の海女小屋体験や路地裏散策の様子、浮島水族館での自然体験楽章の取り組みを紹介する講演をしてくれました。

鳥羽恐竜展のリニューアルオープン

今まで安楽島小学校に保管されていた鳥羽竜の資料を鳥羽の中心地にある門野幾之進記念館で新たに展示することにしました。本物は三重総合博物館にあるので展示されるのは上腕骨や尾椎などのレプリカと大腿骨の大型パネルなどです。合わせて子どもたちが現地の化石採集会で見つけた貝化石や恐竜化石も展示しました。身近な場所で鳥羽竜の資料が見られることは市民の皆さんや子どもたちにも新たな関心を持っていただく機会となります。ここに来た子どもたちは恐竜ランドのジオラマや絵本をみて楽しんでくれました。外で化石レプリカづくりをやり、恐竜が生きていた時代の化石を創ることに楽しさを覚えてくれました。機会がありましたら、皆さんも一度鳥羽恐竜展を訪ねてみてください。

場 所 鳥羽1丁目10-48 門野幾之進記念館・鳥羽ガイドセンター

連絡先 鳥羽ガイドセンター 0599-25-8255 休館日は毎週火曜日 開館10時から16時

恐竜展についての問い合わせ 鳥羽恐竜研究振興会 事務局 山下 080-5103-1366

2020年 鳥羽竜化石の新たな発見を目指して

 2020年は昨年に引き続き、恐竜化石発見のブームに乗って、鳥羽でも調査研究を進め、新たな鳥羽竜化石発見目指して頑張りたいと計画しています。再度鳥羽竜化石発見につながった松尾層群の地質研究をさらに進め、なぜこの地が恐竜化石発見につながったかを研究し、この松尾層群命名と調査研究を長年やっていただいた大阪教育大学名誉教授山際延夫さんの研究成果を再度たどってみたいと考えています。

 そしてそれらの研究の中で中生代の地質がどのように形成され、貝化石や植物化石などをたどる中で恐竜化石が鳥羽の地で発見されたことを導きたいと考えている。講演会や化石研究会などを開催し、それらを分析する鑑定眼などを会員相互で鍛え

ていきたいと考えている

2019年 恐竜の新時代に向けて

 2019年は日本の恐竜研究の新時代の幕開けに近い新たな研究成果が各地で発表されている。その中での特筆は北海道の「カムイサウルス」の発見とそれらの全身骨格の展示などをつかさどった北海道大学特設博物館の小林快次(よしつぐ)博士の活躍である。「カムイサウルス」の全身骨格整備などを通して日本にはたくさんの恐竜がいたのではないかという提案や恐竜は羽毛を持ち、寒さにも耐えて各地で生息していたのではないかという新しい羽毛恐竜の出現を考えたことである。NHKでも「恐竜超世界」などの特集番組を放送し恐竜の新時代をアピールしてくれている。

鳥羽でもさらに調査研究をすすめ、新たな発見を目指して研究を進めたいと検討している。

写真(NHKの恐竜超世界より)

羽毛恐竜 デイノケイルス 

羽毛を持つ恐竜が各地で出現、ティラノサウルスも羽毛があったのではという説も出てきた。

卵をかえすとき、足で踏まないように真ん中にスペースを取り遠景上に卵を産んだデイノケウルスなど新たな発見や、恐竜の脳もだんだん進化してきたのではないかという発見も進んでいる。写真は(NHKの恐竜超世界より)

鳥羽恐竜研究振興会の総会

2023年度の総会は昨年にひきづ付き役員・運営委員参加の元、令和4年度の事業報告、決算報告を討議のあと承認しました。承認を皆さんからいただき、今年度の事業をスタートさせました。今年はもう一つ本会の行事である夏休み宿泊体験活動がコロナ問題のためできなくなったのが大きな痛手でした。その代わり現地での化石採集会や研究振興会の資料展示の工夫でいろいろ奮闘していくことを皆さんにご紹介させていただきました。

平成30年度 事業実績及び効果


        2.学術的調査研究について

 

 鳥羽竜化石発見から22年目を迎え、新しい発見にはなかなか至らないが、29年の9月、産業技術総合研究所が鳥羽の地質についての調査研究結果を発表し、鳥羽竜化石がどのような経過でできたかを説明していただいた。太平洋プレートの移動による付加体でできたこの地域の地層には浅い海で恐竜がなくなり、海底に堆積する中で 化石になったことを紹介してくれた。これは大変有意義な提案で今後の恐竜化石発見につながる大きな材料となると期待している。本研究会でも積極的に調査を進めていくことが必要と考えた

これに合わせて、三重県立総合博物館の津村善博さんをお招きして、地質探検フィールドワークを2回ほど実施し、鳥羽の地質についての研究理解を広めた。特に、答志島の大築海島での地質調査や鳥羽湾の三ツ島の地質調査は、玄武岩からなる緑色片岩や珪質片岩などの地質を確認することができ鳥羽地域の地質についての理解を大きく進めることができた。このようなフィールドワークにはクラブツーリズム協会の事業として開催し、観光協会や遊民クラブ・観光課職員・鳥羽ガイドセンターの皆様にも参加していただき新たな発見をすることができた。答志島の地質調査では地元の方にもたくさんの協力をいただいた。

2回の地質調査は地元の新聞やテレビでも取り上げていただき、合わせて恐竜研究振興会の名前で調査資料を新聞連載に紹介させていただいたので市民の皆様にも理解を広げることができた。

      広報・普及活動について

 

 今年度は、鳥羽竜化石発見現場での化石採集会や鳥羽の地質探検フィールドワークの紹介、見学会の実施などに力を入れた。中でも産業技術総合研究所が発行した1/50000

の「鳥羽の図副」は大変貴重な資料であったので、この成果を広く市民の皆様に知っていただくために調査研究の中心になった内野隆之研究員を講師として招聘し「鳥羽志摩は地質の宝庫」の講演会を開催した。合わせて鳥羽の地質の特質を知るために鳥羽城の石垣を調べるフィールドワークを開催し、講師の内野さんや三重県立博物館の津村さんとともに石垣の岩石の種類と出所を調べた。このフィールドワークや講演会には市民はもちろん近隣の市町からもたくさんの皆様が70名あまり参加していただき大変盛況であった。

 

それぞれの活動をより詳しく、また、活動への参加を呼び掛けるためホームページを通しての広報活動を続けている。鳥羽恐竜研究会で検索できます。

 

   4.体験学習活動・交流事業について

「 鳥羽の子どもたちに豊かな体験を」と名を打って

  企画している「夏休み宿泊体験活動」は毎年市内

  の小学生に人気を博し、たくさんの子どもたちが参加くれている。今回も小学6年生に限って募集したところ31名の参加があり、スタッフ7名、大型光バス一台で8月28日~29日の1泊2日の日程で土岐市化石博物館・福井県立恐竜博物館を訪ね、勝山市の奥越高原青少年自然の家に宿泊した。子どもたちにとっては仲間とともに行動することであいさつや礼儀・マナー

を学ぶことができた。福井県立恐竜博物館でより内容のある見学や体験ができたことが子ども

たちの成長に大きな成果を上げた。

5.交流事業

交流事業については、京都や大阪からの修学旅行生が現地を訪れてくれ、現場での化石発見体験活動を実施し、貝化石や海浜生物などを観察することで自然に対する興味と関心を持っていただいている。今年は京都の東角小学校51名、木津川小学校69名、大阪の富田林市立東条小学校14名の参加があった。

そのほか鳥羽の子ども達には化石レプリカ教室を開催し、恐竜や貝化石に興味を持っていただいている。今回も伊勢市の修道小学校UKIUKICLUBから要請を受け、化石レプリカ教室を実施し、大変好評を拍した。学童保育「たんぽぽ」は低学年児童数が多く残念ながら次年度に回すことにした。

 

 また、夏休みはガイドボランティアセンターや鳥羽市民文化祭でも化石レプリカ教室を実施し、たくさんの子どもたちが興味を持って参加してくれた。

夏休みや連休時には各地から現地見学案内の依頼要請があり、現場での案内の対応をした。夏休みには東京や県内各地から親子連れで来てくれて「現場で化石を見つけてたいへんうれしいかった。」という声もたくさん上げてくれた。右写真

 

 鳥羽の地質研究フィールドワークは鳥羽周辺の地質がどのように成り立っているか調べることで改めて地域の良さを再認識する機会として市民の皆様に好評を拍したが、子どもたちにも参加していただき、海岸での石拾いや岩石調べなどで鳥羽の地質についての理解を広げ、日本列島の成り立ちや恐竜化石の生成などについても興味関心が広がるようにいろいろな形で呼び掛けて参加を促していきたい。 

展示施設の整備・充実について

安楽島小学校の3階特別教室をお借りしている常設展示施設は、その活用について種々の課題があり、適切な場所への移転を希望しているが、引き続き次年度以降の課題となっている。旧鳥羽小学校の早急な整備活動等で具体化を図っていただきたいと願っている.鳥羽竜化石の本物は三重県立総合博物館で保管されているが、平成28年の「三重の巨大生物たち」の特別展示で「トバリュウ化石」として実物展示していただいたが、今はレプリカの展示になっている。引き続き県立総合博物館と連携を密にして、よりよい方向へ前進するよう働きかけていきたい。夏休みには博物館の学芸員が現地を訪ねて、恐竜化石らしきものを採集してくれた。

6.      6.終わりに

 今年の大きな話題は独立法人「産業技術総合研究所」が発表した「鳥羽の地質図副」五万分の一である。この研究成果の発表によると鳥羽は地質の宝庫で日本列島の中央構造線の南側を形成している三波川変成帯、黒瀬川帯や秩父帯、四万十帯などそれぞれ特徴的な性質を示す地質帯が集合している貴重な場所であると提示されたことである。これらを確かめるために鳥羽湾内に浮かぶ島々で地質調査をしてみたがそれぞれ貴重な岩質を示している。これからも答志島の北側は三波川変成帯の青石、菅島は黒瀬川帯の黒いカンラン岩・蛇紋岩、東の白いチャート、神島の北側は三波川変成帯で青石、南側のカルスト地形は秩父帯の石灰岩とチャート、坂手島は右側半分に蛇紋岩の黒瀬川帯が北側には御荷鉾帯などが提示されている。石鏡・今浦地域には四万十帯の白いチャート、安楽島地域も様々な岩脈が入り乱れ得意な岩質を表している。合わせて地域の守り神として鳥居がたてられたり、弁天さんや鏡石として祀られている。

 今後はこれらの地域で地質探検フィールドワークなどを計画し、地域の人やたくさんの人に見ていただき、鳥羽竜化石と合わせて鳥羽の新たな観光資源として宣伝し、豊かな海の幸やそ

れぞれの地域の祭り、風習などについても調査研究を進めていきたい。願わくばこれらの地質やそれをもとにして観光、自然環境保護、防災などの視点で持続可能な地域の活動を生みだすためにジオパークなどの取り組みを進めていきたいと願っている。        

<写真は鳥羽城の石垣についての調査>

鳥羽の地質図とジオパーク談義

 寺田会長さんと観光協会世古さんに鳥羽の地質図を見てもらい鳥羽の地質とジオパークについての話し合いをする。寺田会長さんは戸田屋旅館建設の時はパイルを一本も打たなくてよかった。それだけ地盤がしっかりしていた。主水岬周辺は堅い岩石が続いているなどの経験を語り合いながら鳥羽の地質をどう観光資源に生かしていくか熱いトークをしました。大変ありがたいことです。今度は現地フィールドワークなどでそれぞれの地質を確かめていきたい。

 

鳥羽竜の夢を大きく

 鳥羽恐竜研究振興会は鳥羽竜の研究や関連する様々な行事を運営していくために設立されました。鳥羽市からも補助金を頂き、会員の会費とともに運営費用として活用し活動を続けています。運営委員会を中心にそれぞれの計画について検討を進めています。

 今年は鳥羽竜化石発見22周年になるのでさまざまな企画を検討しています。

一番の夢は鳥羽竜としての学名をつけられるようまだ発見されていない部位、頭部や頸部、歯などの発見です。鳥羽竜と同じ「ティチノサウルスの仲間」の丹波竜・むかわ竜がたくさんの部位を発見して新たらしい新種としての認定を受けたようにみんなで努力していきたいと思います。専門家を招いて再度調査研究を進めていく計画をしています。

子どもたちの夢と絆を広げる夏休み宿泊体験活動も大事にして今年も続けていこうとみんなで話し合いました。また、新たな活動として貴重な鳥羽の地質を調査し、市民の皆さんに紹介していくジオパークの取り組みも進めていくことも確認した。

鳥羽恐竜研究振興会の総会

6月11日 鳥羽商工会議所で30年度の総会を開催しました。29年度の事業反省や30年度の事業計画を話し合いました。30年度は今までの修学旅行や各団体・家族の現場での化石採集体験活動を実施していくとともに市内の小学生に福井恐竜博物館にいく夏休みの体験活動を実施することを確認しました。合わせて鳥羽の地質についても県立総合博物館とタイアップして研究し、市民の皆さんに紹介していくとともにジオパークに向けての検討を進めていくことを話し合いました。機会がありましたら皆さまのご参加をお待ちしています。

 29年度は修学旅行の受け入れとしては4300人余り子どもたちと現場で化石採集活動をしてきた。現場での化石採集は20年もたってくると貝化石の現物がなかなか見つけにくい状況になって来ている。しかし、実際の恐竜化石発見現場で化石採集ができるワクワク感に誘われて子ども達は熱心に海岸での採集活動をしてくれている。子ども達の夢に応えられるよう丁寧な説明が求められている。夏休みの体験活動には市内の小学校6年生が35名も参加してくれた。研究会のスタッフとボランティア7名で引率して参加。途中、雨に降られることもありましたが無事終了。子どもたちは友達との交流を深め恐竜や自然活動に関心を広げる豊かな体験がありました。三重県立総合博物館の協力も得て鳥羽の地質調査を今浦や答志で進めることができました。鳥羽の地質の貴重な資源を改めて研究することができました。

鳥羽恐竜研究振興会の予算については鳥羽市をはじめ各関係団体から多額の賛助金をいただいている。それらのご協力に応えるためにも有効な活用をしていくことが求められている。

会計監査報告 吉川監査

 30年度はこれらの成果を生かして、現場での化石採集活動を進めるとともに、体験活動が様々にできるように海岸の整備とともにスタッフの研修を進めていくことを確認しました。夏休みの体験活動は引率スタッフの高齢化もあり、若い人の育成が求められているが、それが叶わなかったら18回続けてきた成果にまとめをつけようと思っている。新たな研究活動として鳥羽の得意な地質を研究し、これらの地質の成り立ちや特質を研究し、三重県立総合博物館などの協力を得て市民の皆さんに紹介するとともにジオパークに向けての研究を進めていきたいと考えている。

  関係団体からの理事の皆さんが熱心に参加していただき、鳥羽恐竜研究振興会のあり方にご意見を出していただきました。

「鳥羽の地質の大変貴重なもの。恐竜化石の発見ととともに地質の研究を進めることも新たな発見があるのではないか」と思います。ガイドボランティアの会の江崎さん

   

「一番は修学旅行の受け入れですね。修学旅行で鳥羽に来ていただくと大人になっても来ていただける。ぜひ恐竜研究会でもいい体験教室をやって修学旅行生の受け入れを増やしてほしい。」観光協会世古さんから熱いリクエスト。

丹波竜の紹介

丹波市より発掘された竜脚類化石(通称"丹波竜")の

記載論文の出版について (2014.8.12)tanbaryu20140812_mini.jpg

平成18年(2006年)に丹波市山南町の篠山川河床に露出する篠山層群から発見された竜脚類(通称"丹波竜")の尾椎、血道弓などの化石は、その後行われた慎重な比較・検討の結果、既知のどの属・種のものとも異なることが判明しました。この研究成果が今回Zootaxa誌に掲載の論文で公表され、その中において丹波竜は新属新種として記載命名されました。

Ⓒ小田隆/丹波市

■新属新種のティタノサウルス形類竜脚類の学名
 Tambatitanis amicitiae gen. et sp. nov.
  (カタカナ読み:タンバティタニス・アミキティアエ)


属名と種小名の語源:Tambaは「丹波地域」にちなみ、Titanisは「女の巨人」という意味でギリシャ神話に由来する、Amicitiaeはラテン語で「友情」の意味で、二人の発見者の友情を記念している。