2020年事業計画

鳥羽竜化石再発見を目指して

 鳥羽恐竜研究振興会は本年で24年目を迎える。昨年は北海道の「カムイサウルス」などの発見に学び、「鳥羽竜再発見」と銘打って現地での化石採集会や化石鑑定会などを実施してきた。子どもたちの参加者も多く、大変好評を博した。特に低学年の子どもたちに恐竜は大人気で化石採集会もたくさん参加してくれている。子どもたちの夢を広げ、今年も「鳥羽竜の再発見」と元気な町おこしにつながるような計画を進めていきたいと考えている。

 

 その起点になるのは鳥羽竜発見のきっかけになった大阪教育大学教授の山際延夫さんの鳥羽志摩地域における化石研究の成果である。山際さんは昨年亡くなられたが大阪教育大学の教授として貝化石をたくさん含むこの地域の地層を松尾層群と名付けられ、広くその名を残されている。今年はもう一度その成果を学びなおし、貝化石や地質調査を進める中で恐竜発見につながる研究を広げていきたいと考えてみた。 3月の後半、講演会を開催する計画を立てていたが、残念ながら、新型コロナウイルスの感染予防のため、中止になった。機会を見つけて講演会の開催を計画していきたい。合わせて松尾層群の調査研究を進め、その成果を学んでいきたい。

1)鳥羽竜発見現場の維持と保存 

鳥羽竜発見から24年もたつと現場の様子は大変景観が変わってきている。波浪で海岸周辺が削られ、パールロード付近からの雨水の浸食で崖が少しずつ崩れかけてきている。安全な保全と共に子どもたちの化石採集については貴重な場であるので常に安全管理を配慮していきたい。イグアノドンの足跡化石についても昨年は蛇篭による補修をしたが、確実な保存は難しいので早急に現場保存の確保を考えていきたい。

 合わせて今年の2月、恐竜公園周辺の枯れ木や雑木を伐採し、海への眺望を確保した。今後もたくさんの人に来ていただくために環境保全にも配慮していきたい。

(2)学術的な調査研究

 

 日本における恐竜の発見は各地で大発見が続いている。また、羽毛恐竜の発見やNHKの「恐竜新時代」などの放映で新たな恐竜ブームも起きている。これらを含めて鳥羽の恐竜化石の再発見にも新たな糸口を見つけていくことが大事な課題となっている。一つは産業技術総合研究所の鳥羽の地質調査から提案された「鳥羽竜化石はまだ見つかる」ともう一つは山際延夫先生たちが続けてきた松尾層群の追跡調査である。中生代白亜紀前後の貝化石などを見つけていくことは恐竜化石の発見にもつながる研究とも考えている。今回、講演会の講師を頼んだ谷本正弘さんは鳥羽竜発見の第一人者でもある。講演会の事前調査で松尾層群の調査には大変協力をしていただいている。合わせて三重県立総合博物館でも鳥羽の恐竜には大変関心を持っていただいているので大野館長をはじめ協力を仰ぎながら研究調査を進めていきたいと考えている。

(3)体験活動の充実

 鳥羽竜に関心を持ってくれているのは子どもたちの存在である。恐竜の名前には私達以上に詳しいし、恐竜が滅びた原因などについても詳しい知識を持っている。毎年、鳥羽竜現場で化石採集会を開催すると県内外からたくさんの参加者がある。鳥羽竜化石現場は自分たちの手で化石採集ができる貴重な現場である。春・夏・秋と年間3回程度現地化石採集会をすると親子連れで参加していただくことが多い。現場で恐竜のことや貝化石の見つけ方を案内してあげると子どもたちの関心は大いに盛り上がる。昨年はテレビ局や新聞社の取材も多く入り、機会を紹介してくれた。今年も紹介を依頼していきたい。

 

 鳥羽歴史文化ガイドセンターでも夏休みに化石レプリカ教室を開催し、夏休みの体験学習として紹介している。 

 

 このほか修学旅行で鳥羽を訪れた学校は恐竜化石現場で化石採集会に参加してくれ、鳥羽竜の発見経緯と化石採集で充実した機会を持ってくれている。参加した児童も「実際に化石を見つけることができてうれしかった。」と感想を述べてくれている。しかし現場周辺が崩れかけて危険な状況にもなっている。むやみに崖を崩したりせず安心・安全に化石採集をする指導をしながら見守っていくことが必要である。

(4)夏休み体験学習会・ジオパークなどの研修会の開催 

 

 鳥羽竜への思いをつなげ、未来に生きる子ども達を育てる活動として夏休み体験活動の開催がある。毎年、市内小学校の6年生に呼びかけ福井の県立恐竜博物館などを訪ねる体験活動を続けている。今年で20年目を迎える。年々児童が少なくなり、参加者も少なくなってきているが、25名前後の参加してくれている。奥越青少年自然の家での宿泊などで集団活動や仲間づくりを育てる機会を持ち、自覚ある子どもたちの育成にも大きく貢献している。今年も予算が厳しい中だが継続してやっていく準備を進めている。

【ジオパークへのとりくみ】

 

 地域の地質や自然の景観を生かして、持続的な環境保護を進めていく活動にジオパークの取り組みがある。鳥羽の地質は秩父帯や黒瀬川帯、三波川変成帯、四万十帯などの地質から形成されていて多様な自然景観を生み出している。おいしい海の幸や海女の活動などもこれらの関係と大きく繋がっている。この貴重な自然景観とそこに生息する動植物の生態を知り、合わせて未来に続く自然環境を守っていくことは持続的社会の維持のためにも大事なことである。合わせて、これらを保護していく仕組みやメンバーを育成していくことも必要である。市民の皆さんと一緒に地域の地質調査をしたり、三重県立総合博物館や鳥羽ツーリズム推進協議会などとも連携を取りながらジオパーク推進の活動を推進していきたい。

 

5)展示施設の整備と充実

 鳥羽竜の研究成果を継続していくには、今まで発掘した骨化石や貝化石を展示していく場所が必要である。恐竜がなぜ地球上で大繁栄していたかなどの様子を紹介するのも恐竜ファンの子どもたちにはまたとない願いである。今は安楽島小学校のあき教室を利用して保存しているが、何とか一日も早くそれらを系統的に紹介する施設が欲しいものである。旧鳥羽小学校や来年から休校になる鏡浦小学校もあるので、それらを活用した化石展示教室を起点とした活動が展開できたら、夢多き活動につながるものとして期待している。教育委員会ともよく相談して努力を続けていきたい。

今年は急きょ鳥羽一丁目にある門野幾之進記念館のエントランスを借りて鳥羽竜の化石などを展示する

計画が実現しました。何とか市民の皆様や恐竜ファンに少しでも見ていただきたいと準備を進めています。

(6)情報発信・普及活動の推進

 鳥羽を訪れてくれる方々に鳥羽竜発見地を紹介していくことは鳥羽の観光資源の目玉にもなっている。子どもたちをはじめ訪れてくれる観光客の方に現場の紹介をするパンフレットやホームページ、SNSでの発信はだいじなポイントである。パンフレットは関係団体や旅館にも置いていただき、現地でも恐竜の小箱を設置し、パンフレットを置いている。現地での化石採集会の開催では記者クラブを通して各新聞社・テレビ局で紹介して

いただき、ホームページ,facebookでも紹介している。

現地で化石採集会に参加していただいた方には恐竜研究会の会員になっていただき今後の活動に参加する機会を紹介していきたい。また、市民の方にも会員拡大を進め、鳥羽竜や化石・地質などについて専門家を招聘し講演会を開催し、鳥羽竜の普及活動を幅広く続けていきたい。

★鳥羽恐竜研究振興会HP https://tobaryoryukenkyukai.jiumdo.com

又は 鳥羽恐竜研究振興会で検索

 

 ◎e-mail  momonoki@amigo.ne.jp 山下

参考資料 NHKダーウィンが来た

むかわ竜の発見でも日本列島でも様々な恐竜がでも発見されることが分かった。アジア大陸の東側にあつた日本にはたくさんの恐竜が生活していた。それらの恐竜化石が今後も発見されるだろうという提言。大変興味深いものであつた。写真はNHKのものをお借りしています。研究の中心は北海道大学の

小林 快次(こばやしよしつぐ)教授 むかわ竜は正式にカムイサウルス・ジャポニクスと命名された。

恐竜化石発見現場での化石採集会

皆さんからのご要望があれば、現地で化石採集会を開催します。潮時や天候を十分配慮して実施したいと思います。鳥羽恐竜研究振興会までご連絡ください。連絡先 090-4790-0559

北海道むかわ町で草食恐竜の全身骨格発掘

2017年 むかわ町で恐竜の全身骨格が発見。体長は鳥羽竜より少し小さいけど全身の骨格が発見されているところが素晴らしい。連絡を取りながら研究交流を進めていきたい。

むかわ竜は現在はカムイサウルス・ジャポニクスと命名されている。

2018年5月、京都から修学旅行の子どもたちが現地で化石採集会を体験。海岸で貝化石を発見したりして楽しい体験をしました。

鳥羽市の離島 答志島の大築海島にわたり地質調査。三波川変成帯の変成岩を現地で確認。様々な変成岩ができていることに驚きの連続。縞筋模様の入った黒色片岩の鑑定。石灰岩などもあり様々な岩石が入り交じっていました。大変興味ある離れ島です。

恐竜化石発見現場で化石採集 お父さんと一緒に化石の岩脈を見つけて化石発見にチャレンジ。

ハンマーの使用は私ども研究会の指導のもとに行いました。むやみには使えませんのでご了解を。

 

夏休みの体験学習会 鳥羽市内の小学生6年生が応募して参加。岐阜県の土岐川での化石採集会や福井県の恐竜博物館を訪ねます。宿泊は奥越高原青少年自然の家です。今年は8月27日28日に実施。

三重県立総合博物館と連携して 鳥羽の地質調査を推進

鳥羽は四万十帯や秩父北帯南帯、黒瀬川帯、三波川変成帯とたくさんの地層が集まっています。それぞれの地層の特質を探り、どのように形成し、広がっているか研究員の方と一緒にフィールドワークを実施しています。機会がありましたらぜひご参加ください。

恐竜の足跡化石の保存 イグアノドンの足跡化石が海岸近くにあります。台風や大潮の時、波に洗われるのでその保護活動をしています。昨年も11月11日に実施。なるべく早く安全な保全活動を願っています。

恐竜小公園に「恐竜の小箱」設置。案内パンフレットが置いてあります。いつでもご利用ください。


鳥羽竜発見現場

Name 鳥羽市安楽島町砥浜海岸

Street 県道750号線通称パールロード

City/ZIP 鳥羽市安楽島町

Email: momonoki@amigo.ne.jp

Telephone: 090-4790-0559


鳥羽竜発見現場での化石採集体験学習